入れ歯での噛み方に慣れる

 入れ歯は自然歯の機能を代替する臓器の一部です。目的はそれぞれの用途に応じた使い方をして初めて役立てることができます。入れ歯の使い方、つまり噛み方にも自然歯との違いがあります。

●左右両側の第二小臼歯と第一大臼歯で噛む
 それぞれの歯には「噛み切る」「引き裂く」「噛み砕く」「磨り潰す」などの役割があります。しかし、入れ歯では、第二小臼歯(5番)と第一大臼歯(6番)がこれらの役割をすべて担っています。つまりこの2本(上下左右で8本)で噛むことが基本です。また左右の第二小臼歯と第一大臼歯で均等に噛むことも大切です。片側だけで噛むことが習慣化すると、一方の歯だけが摩耗しアンバランスになり、肩こりや腰痛の原因となります。入れ歯の前歯は噛むというより、口元の審美性を高めることに重点があります。総入れ歯だと、前歯で強く噛むと奥が浮き上がって外れやすくなります。

●少しずつ噛む
 自然歯と違い、入れ歯では頬張るような食べ方をすると入れ歯が転覆し、痛みの原因となります。静かに少しずつ唾液と混ぜ合わせながら、噛むことを心がけましょう。

●噛む支点を変える
 入れ歯では、さまざまな食べにくい食品があります。こうした食品の中には、麺類のように下顎をわずかに突き出し支点を変えて噛むと、比較的スムーズに噛み切れるようになるものもあります。またリンゴやせんべいも同じように下顎をわずかに突き出し、噛む支点を変えて手で上に持ち上げるようにして折ると、食べることができるようになります。

●噛む筋肉を鍛える
 入れ歯を入れた当初は、慣れないためになかなか強く噛めないかもしれません。しかし、入れ歯で毎日噛んでいると咬筋、内側翼突筋、側頭筋などの噛む筋肉(咀嚼筋)が鍛えられ、噛む力も強くなります。
 このように入れ歯での噛み方にはいろいろなコツがあり、慣れが必要です。入れ歯での噛み方に慣れるまで、ある程度のトレーニングが必要です。当初は大きな違和感があるかもしれませんが、意識的にこのような噛み方を練習しているうちに慣れてきて、違和感も小さくなります。

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