入れ歯で重要な咬頭傾斜角
「噛む」には大きく分けて「噛み砕く」こと、「磨り潰す」ことの二つの動作があります。噛み砕くことは入れ歯にとってそれほど難しいことではなく、よく噛むことができる入れ歯とは、「磨り潰す」ことができることです。
そこで大切なのは咬頭傾斜角です。咬頭傾斜角とは、入れ歯の鋭さを表す角度のことです。この角度が大きければ入れ歯の溝が深くなり、山と谷がはっきりした鋭い歯となります。この角度が小さければ入れ歯の溝が浅くなり、ゆるやかな傾斜となります。特に小臼歯、大臼歯に相当する人工歯は、咬頭傾斜角が大きいと磨り潰す働きが強くなります。逆に咬頭傾斜角が小さいと磨り潰す働きが弱くなり、噛むことに支障がでてきます。しかし咬頭傾斜角が大きすぎると噛み合わせのときにロックがかかったような状態となり、顎の運動が阻害され、肩こりや腰痛の原因となってしまいます。また噛んだときに限られた箇所に過剰に圧力がかかるので歯肉への負担が大きくなり炎症を起こしてしまう危険性もあります。咬頭傾斜角は大きければ大きいほどよいというわけではないのです。大切なのは、その人に合った咬頭傾斜角の入れ歯となるように調整することです。